判らないの、エックス。
屍の上に花は咲いているのよ。
凍りつくような夜、冴え冴えとした月の下で言い放った彼女。
背負うのは月の光。
私達が立っている地面はそもそも死体の層なのよ。
死体で築かれた地面の上に花は咲いているの。
「…知っている。」
あなたは確かに同族を殺すだけの力を持っている。
でも花を咲かせたいと願っている。その願いにどうして躊躇うの?
彼女の周りの二人は黙っている。一人は顔に大きな傷を持つ少年、もう一人は長い金髪の青年。
月の光の中彫像のように動かない。
「でも俺は殺している。数え切れないくらい。そんな俺が、皆を正しい方向へ導けるとは思えない。」
「…僕はそーは思わないけど。」
少年が独り言のようにぽつりと呟いた。
「エックスなら、いい未来創れるんじゃない?」
「正当な願いにどうして顔を背けるの。」
彼女が動いた。坂道を下るにつれて、距離は近くなり目線は離れていく。
「あなたならレプリロイドの屍の上に花を咲かせることが出来ると私は信じている。ここに居る私達は皆そう。」
「土に還らない私たちの屍が花を咲かせられるなら、悔いなく死ねる。ゼロが何度も命を張ってあなたを守ったように」
そして金髪の青年が口を開いた。
「お前はかつて俺に聞いた…『狂ったらどうする』と。…お前が間違ったら何をしてでも止める。だから進め。」
あとがき。
Tomさんの日記を読みオレンジレンジの花を聞いたら浮かんだネタ。かなり突発。
そしてコンセプトは「君のためなら死ねる」。
うん、素敵すぎ。
そしてクリスマスや年賀の欠片も無い。でも。
でも何か書きたいこと書いたから幸せ。