似てない双子って、よく言われるの。
 
 微かに笑ってアイリスは良く、周りの人間にそう説明している。
 半分以上共通のプログラムを持つ、カーネル、と、アイリス。
 外見こそかなりの差異こそあれ、双子であるということは間違い無い…いやむしろ、
「魂の半身」と呼ぶのが相応しい存在だが、二人は「双子」というのが自分達に一番
しっくりくる言い方だと納得しているから、周りにもそう説明しているのだが。

 でも性格はそっくりだと思うわ。

 友人、同僚たちはこう返す。…そうかしら?厳しそうじゃない?
                  アイリスさん、カーネルさんみたいに厳しく無さそうですよ。

 

「何を言う」
 「性格っていっても、表面的なものじゃなくて。」
「似ているのは…」
 「何ていえばいいのかしら…」
「物の見方」
 「物の感じ方…?嬉しいとか、あれが綺麗だとか、判らないとか。うん、そういうところが凄く似てる。」

 

 兄さんが笑えば私も笑うし、私が笑えば兄さんも笑う。
 私たちの感情は、多分どこかでリンクしているのかもしれない。

 

「あたし賭けてもいいわよアイリス。」
 その話を聞いた同僚の女性は真顔で返した。
「絶対に、絶対に、絶――対に彼氏見つけるの大変だと思うわ。」
「そう?」
「だってそこまで仲が良いと、カーネルさんがあんたに彼氏が出来たといっても納得し無そうだし、
 あんたもあんな感性が似てる兄さんがいたら、彼氏居なくても平気じゃない。」
「………」
 その単語を聞いた瞬間に、アイリスの表情がちょっと変わった。
「あ、何、もしかして居るの?」
 それを目ざとくみつけた彼女が素早く、それこそ神速の勢いでアイリスに食って掛かる。そりゃあ
もう素早かった。もしかしたらカーネルが間合いを詰めるよりも早かったかもしれない。
「そんな、だって、好きかどうかも微妙だし…!」
「微妙?そんなこと無いって!あんたの世界が狭いのよきっと。カーネルさんが変な虫つかないように
 気をつけてたんじゃない?」
「そんなことは無いと思うけど…。」
「いいからほら、言ってみなさいよ!ほら!恋愛して世界を広げる!」
 どこがどうも繋がっていない脈絡の無い話だが、勢いに押し切られたのかアイリスはこっそりとある
青年の名前を耳打ちした。

「兄さんの知合いなんだけど…」

 

 

あとがき。
変な話でした。アイリスって女学校育ちのお嬢様のイメージがあります。っていうか周り男ばっかりなのに。
カーネルは妹バカですがあまり露骨にするとイメージ崩れるのでこの辺りで留めておきましょう。
この話にもものすごい伏線が貼ってあります。これが後で痛くなるんだ。多分判るでしょう。でかでかと
書いてありますよ。